計器用変成器CT・VT・ZCTを「開けるな・閉めるな」で攻略
電験三種「電力」科目で頻出の計器用変成器(CT・VT・ZCT)を完全図解。CTは大電流→小電流・低インピーダンス・二次側開放厳禁、VTは高電圧→低電圧・高インピーダンス・二次側短絡厳禁、ZCTは三相一括で地絡を検出。どっちが開放でどっちが短絡か混乱する方へ、『電流器は開けるな・電圧器は閉めるな』の暗記法と理由を1記事で整理します。
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「CTは開放厳禁、VTは短絡厳禁……あれ、どっちがどっちだっけ?」
電力科目の計器用変成器は、まさにここで多くの方が足を止めます。CTとVT、開放と短絡、低インピーダンスと高インピーダンス——似た言葉が対になって登場するので、暗記で押し切ろうとすると本番で必ず逆になるんですよね。
でも大丈夫です。この記事を読み終えるころには、**「電流器は開けるな・電圧器は閉めるな」**というたった2行のフレーズと、水道のイメージだけで、迷わず答えを導けるようになります。苦手意識をそのまま「確実な1点」に変えていきましょう。
この記事で身につくこと
- CT・VT・ZCTという「計器用変成器の3兄弟」それぞれの役割
- なぜCTは低インピーダンス・VTは高インピーダンスなのか、その理由
- 回路図記号で**CT(丸1つ)とVT(丸2つ)**を一瞬で見分ける方法
- CT開放厳禁・VT短絡厳禁の理由を、暗記ではなく原理で説明できる
- ZCTが三相一括で地絡を検出する仕組みと、変電所の保護チームプレー
暗記フレーズ:電流器は開けるな・電圧器は閉めるな
今日の全ては、この2行に集約されます。
電流器(CT)は、開けるな!(二次側を開放すると高電圧が暴発) 電圧器(VT)は、閉めるな!(二次側を短絡すると大電流が暴走)
CT(計器用変流器)は「電流を扱う器」だから、二次側を開放してはいけない。VT(計器用変圧器)は「電圧を扱う器」だから、二次側を短絡してはいけない。電流は「開ける」がNG、電圧は「閉める」がNG——きれいに対になっています。
この2行を握っておくだけで、試験の選択肢の半分は絞れます。あとは「なぜそうなるのか」を理解して、ど忘れしても論理で立て直せるようにしていきましょう。
ステップ1:CT(計器用変流器)は「電流の通り道」
まずは長男のCT(Current Transformer=計器用変流器)から。役割は一言、大電流を、扱いやすい小電流に変換することです。
送電線には100A・数百Aといった大電流が流れています。電流計はそんな大電流をそのままでは測れません(壊れてしまいます)。そこでCTが、通常5A程度の小電流に変換してからメーターに送ってあげるわけです。CTがいなければ計器が焼けてしまう——縁の下の力持ちですね。
ここで大事なのが負荷の性質です。CTにつなぐメーター側は**低インピーダンス(低Z)**である必要があります。
なぜか。CTは電流を「正確に測りたい」装置です。途中の抵抗が大きいと、そこで余計な電圧降下が起きて、本来の電流値を読めなくなってしまうからです。だから電流をスムーズに流すために、低インピーダンスで使う。**CTは「電流の通り道」**とイメージすると腑に落ちます。
なお、CTは大電流が流れる導体を囲むように丸いコイルを設置して使います。これは右ねじの法則——電流のまわりに発生する磁界を拾うため。理論科目の磁界の話がそのまま生きてきます。
ステップ2:VT(計器用変圧器)はCTの「電圧バージョン」
次は次男のVT(Voltage Transformer=計器用変圧器)。CTと比べながら聞くと、一気にパターン化できます。
CTが大電流を小電流に変えたのに対し、VTは高電圧を、安全な低電圧に変換する装置です。機器によりますが、数十万Vにも達する危険な高電圧を、通常110Vの安全な低電圧に変えてメーターに送ります(家庭用コンセントに近い電圧ですね)。
そしてここがポイント。VTの負荷は**高インピーダンス(高Z)**であることが必要です。CTとは正反対なんです。
理由はCTの裏返しです。VTは電圧を「正確に測りたい」装置。もし余計な電流が流れると、そこで電圧降下が起きて本来の電圧を読めなくなります。だから高インピーダンスにして、電流が流れないようにするわけです。
| 比較項目 | CT(変流器) | VT(変圧器) |
|---|---|---|
| 変換 | 大電流 → 小電流(5A) | 高電圧 → 低電圧(110V) |
| 測りたいもの | 電流 | 電圧 |
| 妨げたくないもの | 電流の流れ | 電圧(電流を流したくない) |
| 負荷の性質 | 低インピーダンス | 高インピーダンス |
「電流は低Z・電圧は高Z」。ここが混乱の最大ポイントですが、何を測りたいか→何を妨げたくないかで考えれば、もう逆になりません。
ステップ3:回路図記号は「CT=丸1つ・VT=丸2つ」
試験では図問題でCTとVTを見分ける必要があります。記号が似ていてごっちゃになりがちですが、覚え方はシンプルです。
- CTの記号は「丸が1つ」。線に丸が直列に入るイメージ。電流を測るため、配線に直列に割り込ませる接続と一致します(コイルの真ん中を電線が貫く形)。
- VTの記号は「丸が2つ」。トランス(変圧器)の記号ですね。電圧を測るため、配線間に並列につなぎます。
| 変成器 | 記号 | 接続 |
|---|---|---|
| CT | 丸1つ | 直列(線に割り込む) |
| VT | 丸2つ | 並列(線の間につなぐ) |
直列のCTは丸1つ、並列のVTは丸2つ。 記号と接続をセットで頭に入れると、図問題で迷わなくなります。まとめられるものはまとめて、暗記量を減らしていきましょう。
ステップ4:今日のハイライト「開放厳禁・短絡厳禁」の理由
さあ、本丸です。なぜCTは開放厳禁・VTは短絡厳禁なのか。ここを理屈で押さえれば、ど忘れしても導き出せます。
CT開放厳禁——開けると電圧が暴発する
CTの二次側を開放すると、電流の逃げ場がなくなります。すると一次電流が作る磁束を打ち消す相手がいなくなり、鉄心が磁気飽和を起こして、二次側に**非常に高い電圧(数千V)**が誘起されます。結果、絶縁破壊や感電の危険が生じます。
水でイメージしましょう。勢いよく流れている水道の蛇口を、突然ぎゅっと閉めたらどうなるか——ブシャー!と吹き出して、最悪は配管が破裂しますよね。通り道をふさいだエネルギーが、別の形で暴発するんです。これがCT開放のこわさです。
VT短絡厳禁——閉めると電流が暴走する
逆にVTの二次側を短絡すると、抵抗がほぼゼロになり、大電流が一気に流れて機器が焦損・破壊されます。
こちらも水でいえば、堰き止めていた水(=電圧)の壁を取り払う行為。一気に雪崩のように流れ出す——それが短絡時の大電流のイメージです。
電流器(CT)を開けると電圧が暴発、電圧器(VT)を閉めると電流が暴走。 この対比で覚えれば、絶対に逆になりません。
なお現場では、点検時に必ずCTの二次側を短絡してから機器を外すというルールがあります。「開放厳禁」は試験知識であると同時に、人の命を守る安全ルールでもあるのです。
ステップ5:ZCT(零相変流器)は「三相一括の番犬」
最後は三男のZCT(Zero-phase Current Transformer=零相変流器)。これはCTの発展型です。
CTが1本の電線の電流を測るのに対し、ZCTは三相の電線3本をまとめて一括で囲む構造をしています。役割は地絡事故の検出です。
なぜ3本まとめて囲むのか。三相交流は、正常時は3本のベクトル和がゼロになります。つまり3本を一括で囲んでも磁束が打ち消し合い、リングの中は反応しません。ところが地絡が起きて1本の電線から電気が大地へ逃げると、3本のバランスが崩れ、ベクトル和がゼロでなくなる——その「残り」が零相電流として現れ、ZCTが検知するのです。
この仕組みのおかげで、5mA程度の微小な地絡電流でも確実に検出できます。バランスが崩れた「残留電流を見逃さない番犬」——それがZCTです。
ただしZCTは検知するだけ。検知後は遮断器に信号を送り、遮断器側で回路を切り離します。検知と遮断はセットで覚えておきましょう。
ステップ6:変電所のチームプレー「センサー→脳→スイッチ」
CT・VT・ZCTは単独では働きません。変電所ではチームプレーで動いています。3ステップで覚えましょう。
| ステップ | 役割 | 担当機器 |
|---|---|---|
| ① 異常をキャッチ | センサー(目) | CT・VT・ZCT |
| ② 事故と判定し指令 | 脳 | 保護継電器(リレー) |
| ③ 回路を切り離す | スイッチ(手) | 遮断器(CB) |
変成器が目となり、継電器が脳となり、遮断器が手を動かす。 この「センサー→脳→スイッチ」の流れがつかめると、変電所の保護システム全体が一気に見えてきます。将来あなたが設備を任されたら、まずこのチームがどこにあるかをチェックする——それが安全管理の第一歩になります。
まとめ
計器用変成器は、似た言葉の対比に惑わされさえしなければ、確実に得点できる範囲です。最後に表で総ざらいしましょう(スクショ推奨です)。
| 変成器 | 役割 | 負荷 | 二次側の禁止事項 |
|---|---|---|---|
| CT(計器用変流器) | 大電流 → 小電流 | 低インピーダンス | 開放厳禁 |
| VT(計器用変圧器) | 高電圧 → 低電圧 | 高インピーダンス | 短絡厳禁 |
| ZCT(零相変流器) | 三相一括で地絡検出 | — | (検知のみ・遮断器とセット) |
- CTは「電流の通り道」だから低インピーダンス、開けると電圧が暴発するので開放厳禁。
- VTはCTの裏返しで高インピーダンス、閉めると電流が暴走するので短絡厳禁。
- 記号は**CT=丸1つ(直列)・VT=丸2つ(並列)**で見分ける。
- ZCTは三相のベクトル和がゼロでなくなる瞬間を捉えて地絡を検出する番犬。
- 変電所は**CT・VT・ZCT(目)→ 保護継電器(脳)→ 遮断器(手)**のチームプレー。
迷ったら、今日の暗記フレーズに戻ってください。「電流器は開けるな・電圧器は閉めるな」——この2行が、あなたの本番の1点を守ってくれます。一緒に合格を目指しましょう!
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