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理論 第29回 ⏱ 約11分で読めます

平行導体間に働く電磁力は「ℓを掛けない」が9割

電験三種「理論」で意外な落とし穴になる平行導体間の電磁力。公式 f=μ₀μrIaIb/2πr は「1mあたりの力[N/m]」——うっかり長さℓを掛けてしまう定番ミスを、小文字f・同方向は引力・逆方向は斥力という3つのポイントで一気に攻略します。苦手意識のある方こそスッキリ整理できる決定版解説です。

🃏 暗記フレーズ:小文字fは1mあたり、ℓを掛けるな。同方向は引力・逆方向は斥力

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「公式は覚えたのに、なぜか答えが合わない」——平行導体間の電磁力は、まさにそういう問題です。原因のほとんどは、実は計算の難しさではなく、たった1文字の見落としにあります。

大文字の「F」と小文字の「f」。ここを押さえるだけで、あなたの正答率はぐっと上がります。この記事では、つまずきやすいポイントを先回りして、やさしく整理していきましょう。

この記事で身につくこと

  • 平行導体間に働く電磁力の公式 を、意味からスッと使えるようになる
  • 「長さℓを掛けてしまう」定番ミスを、二度としなくなる
  • 「同方向は引き合い、逆方向は反発する」理由を、感覚で理解できる
  • μr(比透磁率)をいつ省略していいのか、迷わなくなる

暗記フレーズ:「小文字fは1mあたり、ℓを掛けるな。同方向は引力・逆方向は斥力」

この記事の内容は、この一言に凝縮されています。

平行導体の電磁力は [N/m]。 小文字 f は「1mあたりの力」——ℓを掛けるのはよくあるミス! 同方向は引力・逆方向は斥力。

意味がわからなくても大丈夫です。これから一つずつ、ほどいていきます。

ステップ1:まず公式の「形」をおさえる

平行に並んだ2本の導体に、それぞれ電流 が流れているとき、導体1mあたりに働く力 は次の式で求まります。

記号の意味を表で整理しておきましょう。

記号意味単位
導体1mあたりに働く力(小文字N/m
真空の透磁率(定数)H/m
比透磁率(空気・真空なら1)なし
それぞれの導体を流れる電流A
導体間の距離m

ポイントは「分子は2つの電流の掛け算」「分母は距離 を掛けたもの」という形です。まずはこの骨格だけ、頭に入れてください。

🃏 暗記シート
Q. 平行に並んだ2本の導体間に働く電磁力 f の公式は?
💡 単位は[N/m]

ステップ2:最大の落とし穴——「ℓを掛けない」

ここが、この単元で最もつまずく場所です。多くの人が、次のように考えて間違えます。

「力といえば だから、最後に長さ ℓ を掛けるはずだ」

——ところが、平行導体の公式で出てくる 小文字。これは「導体1mあたりの力」を表しています。単位を見れば一目瞭然で、、つまり「1メートルあたり何ニュートン」なのです。

記号意味単位ℓを掛ける?
(小文字)1mあたりの力N/m掛けない
(大文字)全体に働く力N掛ける(

問題文が「単位長さあたりの力を求めよ」と言っているなら、答えは のまま。そこにうっかりℓを掛けてしまうと、単位が合わなくなり不正解です。

逆に「長さ ℓ [m] の導体全体に働く力」を聞かれたときだけ、最後に

と掛けます。「小文字fが見えたら、まず単位[N/m]を思い出す」——これを習慣にすれば、ミスは消えます。

🃏 暗記シート
Q. 2本の平行導体間に働く電磁力の公式で、最もよくあるミスは何ですか?
💡 F(大文字)とf(小文字)

ステップ3:なぜ「同方向は引き合う」のか

「同じ向きの電流は引き合い、逆向きは反発する」——丸暗記でも点は取れますが、理由がわかると忘れなくなります。

順を追って考えましょう。

  1. 導体aに電流が流れると、そのまわりに磁界ができます。
  2. 導体bは、その磁界の中に置かれています。
  3. 磁界の中を流れる電流bは、フレミング左手の法則にしたがって力を受けます。

この向きを丁寧に追っていくと、電流が同じ向きのときは必ず「互いに近づく方向(引力)」に、逆向きのときは「互いに離れる方向(斥力)」に力が働きます。

電流の向き働く力イメージ
同方向(→ →)引力(引き合う)仲間同士、寄り添う
逆方向(→ ←)斥力(反発する)ケンカして離れる

覚え方はシンプルに、「仲良し(同方向)は引き合い、ケンカ(逆方向)は離れる」。試験ではこの結論さえ即答できれば十分です。

🃏 暗記シート
Q. 同じ向きの電流が流れる2本の導体は、引き合う?反発する?
💡 仲良しは引き合う

ステップ4:μr(比透磁率)は、いつ省略していい?

公式には (比透磁率)が入っていますが、実際の試験ではこれを気にしなくていい場面がほとんどです。

  • 空気中・真空中 なので、掛けても値は変わらず、省略できます。多くの問題はこちら。
  • 鉄心などを挟む場合(数百〜数千)となり、力が大きく増大します。このときは省略せず、しっかり掛けます。

つまり、**「空気・真空なら μr は消していい。鉄が出てきたら要注意」**と覚えておけば迷いません。問題文に導体を取り巻く物質の指定がなければ、空気中=μr=1 と考えて大丈夫です。

🃏 暗記シート
Q. 空気中・真空中で公式を使うとき、μr(比透磁率)はどうなる?
💡 空気なら消せる

ちょっと一息:現場ではこんな力が働いている

試験の外の話ですが、この電磁力は実際の電力設備でとても重要です。

  • 送電線のフラッタリング:2本の電線に同方向の電流が流れると引き合う力が生じます。ふだんは問題ありませんが、短絡事故が起きると電流は定常時の数十倍に。膨大な電磁力で電線が激しく振れ、接触してしまう「フラッタリング」現象が起こります。
  • 大電流設備の設計:電気炉などでは、向かい合ったバスバー(母線)に大電流が逆方向に流れ、反発力で設備が壊れた事故例もあります。だからこそ設計段階で を使った構造計算が欠かせません。

「単位長さあたりの力」という一見地味な公式が、現場では大きな力の管理に直結しているわけです。

まとめ

平行導体間の電磁力は、公式そのものより「使い方」でつまずく単元でした。最後にポイントを整理します。

  • 公式は ——分子は電流の積、分母は
  • 小文字 f は「1mあたりの力」。単位長さあたりを聞かれたら、ℓを掛けない
  • 導体全体の力 [N] が必要なときだけ、最後に を掛ける
  • 同方向は引力・逆方向は斥力(仲良しは引き合う)
  • 空気・真空なら で省略、鉄心があれば省略しない

「1文字の見落とし」さえ克服すれば、この単元はもう得点源です。苦手だと感じていた方こそ、暗記フレーズを口に出して、確実に自分のものにしてください。あなたの合格を応援しています。

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